とある伝説XXXIII

男が一人、ティッシュ箱より少し小さいくらいのなにかを両手で持ってやってくる。持っている物は誰にも見えないが、確かになにか持っているようである。男はやがて立ち止まると、持っていた物を地面に置き、虚空に向かって「待て」をするが、すぐに困ったような顔をしてしまう。そこへもう一人の男がやってくる。
「何をしているんですか?」
「ああ、こんにちは。餌やりですよ」
男は一瞬戸惑うが、すぐに納得する。
「あぁ、かわいいですね。触ってもいいですか?」
「どうぞどうぞ」
男はさっき「待て」をしたあたりの空間から炊飯器を二つ並べたくらいのなにかを抱えて持ってくる。もう一人の男がそれをなでる。
「いやぁ、この何ともいえない手触り。やっぱり犬は良いですねぇ」
「亀だよ!」
「でかっ!」