とある伝説LIII

後世どのようなシナリオが事実として語られるかはともかく、その異変を初めて異変と認識したのは、ある種のねこであった。彼らは、その独特の世界認識に基づいてそれを異変だと判断したが、その独特の行動原理に則ってそれを無視した。彼らからすれば、それは異変は異変でも、コイノボリが縄を振り切って飛び去っていった程度の異変でしかなく、したがって何らかの対処が必要だとは考えもしなかったのだ。もっとも、考えたところで、実際に行動に移すことはなかっただろう。ねこというのは、元来そういう生き物なのだ。ねこにものを頼むときは、その点に留意する必要がある。